夜景の薫り

2016年11月2日 Nishiwaki Jinya

気づけばアイスコーヒーが嬉しい時期も終わり、熱々のコーヒーで体を暖める季節に突入。久しぶりに晴れたこの日、前からやってみたかったあることを実行した。それは、夜の山で、コーヒーをすすりながら夜景を楽しむというもの。

 

家の裏から続く遊歩道を、イノシシやクマに遭遇するんじゃないかと怯えながら、300ルーメンのヘッドライトで辺りを照らして登ること15分、標高270mの山頂に到着。こんな秋の夜のことだから、当然山頂には誰もいない。まずは夜景を見つつ、息を整える。まあ、焦ることはない。休憩用のテーブルにプレス器、バーナー、コッヘル、マグカップを広げる。この日用意した豆は、エスプレッソ用。普段はフレンチプレスで淹れるため中挽きだが、今回のプレス器用に細挽きにしてくるのを忘れてしまった。火が沸くまでの数分、またしても夜景を眺めながら待つ。あいにく、薄曇りで星はちらほらとしか見えなかったが、雲の下は眺めが良く、都心部の摩天楼やスカイツリーをはっきりと見ることができた。

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お湯を注ぎ、プレス器を押し下げれば、なんちゃってエスプレッソの完成。ヘッドライトが、カップに注がれたコーヒーの湯気を照らす。一口すすると、あっという間に感覚が鋭くなり、再び冷えた体が暖まり出す。夜景はたっぷり楽しんだので、星やかすかに見える山々に目をやる。次はどんな景色の中でコーヒーを飲もうか、冴えた頭で考える。そろそろ紅葉の時期だから、色づいた木の下なんか、良さそうだ。自然の中にいながら、次の機会を探る。こうすることで計画にも多少の現実味が帯びてくる。暑さや寒さ、草木の色や茂り具合など、季節の情報がリアルタイムで手に入るからだ。

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コーヒーはどこで飲もうとその一杯に変わりはない。カフェでその店自慢のコーヒーを飲むのも間違いはない。しかし、味は劣るにしても、誰にも邪魔されず自分だけの時間を過ごしながら飲むコーヒーもまた格別だ。そしてそれは、自然の中だと実現しやすい。端的に言って、独り、あるいは仲間だけになれる空間を見つけやすいからだ。コーヒーを嗜好品と呼ぶならば、それと共に過ごす時間も贅沢にしたい。

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これからは乾燥する季節。くれぐれも山火事は起こさないように。水筒にお湯を入れていくという選択肢もあるのをお忘れなく。


アウトドアコーヒーレクチャー&翻訳

西脇仁哉

Nishiwaki Jinya

プロマウンテンバイカー&翻訳家。海外マウンテンバイク雑誌などの翻訳をしながら本人もプロのマウンテンバイカー。昔からコーヒー好きで、アウトドアコーヒーに関する資材も多数所有。空気の澄んだところで飲むコーヒーは美味であり広めたい文化。



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