おいしいコーヒーを最小投資で提供する店舗内のコーヒーシステム

2016年9月25日 Nishikawa Takashi

本記事は”おいしいコーヒーを提供したいけど無駄なコストをかけたくない”というカフェ・レストランの担当の方々に、コーヒー豆の購入からコーヒーを抽出するまでの工程について弊店が推奨しているコーヒーシステムを記載しています。

この記事を読むにあたり前提があります。
「抽出テクニックは一旦無視すること」
さまざまな本や雑誌、ウェブサイト、セミナーなどで『おいしいコーヒーの淹れ方』『バリスタテクニック』などの技術向上に関しての記事があります。
これらの抽出技術やハイスペックのコーヒーマシンを使用することは、コーヒー豆の状態が良くないと意味がありません。このことを理解している方は多くても、コーヒーシステムを準じて整えている店舗は少ないのが現状です。
コーヒーの抽出テクニックは、コーヒーシステムが整えば味わい形成において重要な要素になります。
しかし、本記事では技術面の話を一旦置いておいて、技術面以外にコーヒーの味わいを決定付ける大切な工程について記載していきます。
御店のコーヒーシステムを見直すきっかけになれば非常に嬉しいです。

=目次======
1.コーヒー豆(beans)
2.焙煎(roasted)
3.保管(canister)
4.粉砕(grind)
5.抽出(brewers)
6.どの順番で改善すればいいのか?
7.コーヒーサポート
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1-coffeebeans

1.コーヒー豆(beans)

どの種類のコーヒー豆を使用するか決めることは、味わいの”最高得点”を決めることです。
コーヒー豆の品質は購入時から下がることはあっても、提供するまでの間に上がることはありません。
生産地で収穫したときが品質の頂点で、コーヒーを提供するまでの長い過程の中でどう劣化させないようにすべきかをコーヒー関係者の方々は考えています。
考えないといけないことは、どの品質・レベルのコーヒーを使用するのか決定し、その品質を出来る限り下げずに提供するということです。

【ブラジル産コーヒーの場合】
1.ブラジルカップオブエクセレンス(COE受賞) ¥1000/100g
2.ブラジル産スペシャルティコーヒー ¥600/100g
3.ブラジル・サントスNo.2 スクリーン19 ¥450/100g
4.ブラジル・サントスNo.2 スクリーン17 ¥200/100g

ブラジル産のコーヒーを参考に記載しましたが、この中では1が一番品質が高く、4が一番低い品質です。
(※ここに表記していない品種も多数ありますし、インスタント用等に使用するスクリーン17より低い品種もあります)
これらの価格と品質は概ね比例しているため、上質なコーヒー豆を仕入れようとおもうとその分コストがかかります。
今使用しているコーヒー豆がどのような点数・レベルのコーヒー豆か気になったら「お問い合わせ」よりご連絡頂戴できれば弊店スタッフより連絡いたします。

【ポイント】
・コーヒー豆選びは提供するコーヒーの最高得点を決定すること
・コーヒー豆の価格とコーヒーの品質は概ね比例する
・良質なコーヒー豆を使っていても抽出までのコーヒーシステムが整っていないとすぐに劣化する

 

2-roast

2.焙煎(roasted)

焙煎後数週間経過して香りが飛んでしまったり、焙煎技術に乏しい人が焙煎して味わいを落としてしまうことはよくあります。焙煎については2点のポイントを抑えてください。

2-1.新鮮さ

コーヒー豆も果実であり鮮度が大切です。
焙煎日が記載されている、または購入元に焙煎日を尋ねたときに教えてもらえるようなコーヒー豆を使用してください。
一昔前までそのようなコーヒー豆は少なかったですが、現在小中規模のコーヒー焙煎所が日本中にたくさんあります。そして、焙煎したての新鮮なコーヒー豆を配送してくれる焙煎所も存在します。
同じ価格帯であれば絶対に新鮮な状態で購入できるコーヒー豆を選んでください。

 

2-2-roast

2-2.焙煎技術

焙煎はコーヒー豆を煎るという一見非常にシンプルです。
しかし、焙煎技術の乏しい人が焙煎すると瞬く間においしくないコーヒーに仕上がります。
そして、そのコーヒーは焙煎後、保存環境を整えたり、抽出技術の高い方がドリップしたりしても、おいしくなることはありません。
購入先に焙煎専属の方や国内・海外の大会で受賞歴のある方が在籍していたりする焙煎について熱心に取り組んでいる仕入先を選ぶことを推奨しています。
これは決して個人店でコーヒー豆を購入した方がいいという訳では決してありません。大手、中規模でも焙煎について熱心な会社はたくさん存在します。
判別方法は、オススメのコーヒー、1番良質なコーヒー、よく売れている豆など5種類程度購入して全部飲み比べてみてください。
全ての味わいがダメな場合は、購入先を変更することを考えた方がいいと思います。
しかし、おいしいコーヒーが1つでもある場合は『こういう味わいのコーヒーは他にありますか?』と尋ねると、他のコーヒー豆を提案してくれるはずです。
もしわからない場合はコーヒー専門店のスタッフに渡して飲んでみてもらってください。
弊店にもさまざまなコーヒーが持ち込まれてよくカッピングしています。気になる方はぜひ店舗にお持ち頂くか、店舗に送っていただくとコメントを添えて返送いたします。

【結論】
・焙煎日がわかるコーヒー豆を使用する
・焙煎後すぐに購入できるコーヒー豆を使用する
・焙煎技術の高いコーヒー店を選ぶ

 

3-canister

3.保管(canister)

保存環境を整えて出来る限り新鮮なコーヒーを長く提供しましょう。
日常口にするコーヒーは劣化しているものがまだ多くあります。
コンビニコーヒーは品質を変えず出来る限り新鮮なコーヒー豆を挽きたてで提供する。
これまで大企業が出来なかったコーヒーシステムを整えて成功をおさめています。

3-1.保存容器

保存容器選びで注意すべきは密閉性です。
コーヒー豆劣化の1番の原因は、空気に触れて酸化することです。
購入時の袋のままではなく、ゴムパッキン付きの保存容器にしてください。
ガラス容器、プラスチック容器はどちらでも構いません。
ガラス容器の最大のネックは割れる事です。人間は絶対ミスします、つまり割ります。そこも考慮した上で選んでください。
ガラス容器、プラスチック容器どちらもさまざまな容量のものがあるため適切な大きさのものを購入してください。

3-2.保存環境

コーヒー豆劣化の原因は、空気、水(高湿度)、光、温度です。
それらを避けるところに置いてください。
直接太陽光が当たるところ、冷蔵庫/冷凍庫近くの熱いところ、調理場の湿度が高いところ、そのような所ではなく棚の中など暗室・常温で保存しておけば劣化は大幅に遅れます。

【ポイント】
・ゴムパッキンの付いた容器を使用する
・劣化の原因になるところに保管しない

 

4-grinder

4.粉砕(grind)

コーヒー豆を粉にするだけ?そんな事はありません。注意すべきポイントがいくつかあるのでチェックしてみてください。

4-1.粉砕後の時間

味わいへの影響が高いため抽出する直前に挽いてください。
コーヒー豆の劣化で最も影響するのは、前述した通り、空気に触れることによる酸化です。
コーヒー豆を粉砕すると空気に触れる表面積が増えて酸化がいっきに進み、香りがどんどん損なわれます。
抽出の都度挽けない場合は、粉砕後少しでも短い時間で抽出できるようなコーヒーシステムを構築してください。
挽いてから1日、2日は大丈夫ですか?という質問を受けることがありますが、保存環境やコーヒー豆の種類によりバラツキがあり一概にお答えできません。実験して飲み比べる必要があります。

 

4-2-grinder

4-2.挽き具合(メッシュ)の調整

コーヒーミルの挽き具合が抽出方法と合っていないことがよくあるので確認してみてください。

4-2-1.細かい場合

ペーパードリップで抽出している場合、規定より細かすぎると粉詰まりを起こし抽出効率が悪くなっているケースがあります。
粉の量を適正よりも多く使っているのに薄いコーヒーが出来上がるときは、挽き具合を少し粗くするだけでおいしく&コーヒー豆の使用量が減り1杯あたりの原価を落とすことができるかもしれません。
1度細かすぎるかなと思っている方はやってみてください。

4-2-2.粗い場合

粗く挽いていてもおいしいコーヒーが抽出されるので一見問題ないですが、適正な粉量よりもたくさんのコーヒー豆をつかってしまっている事があります。
つまり、抽出方法に合わせてきちんと挽き具合を合わせることで、これまでよりコーヒー粉量を減らし原価をさげることができます。
粗すぎたコーヒーミルの設定を修正するとお店の方に喜ばれるときが多々あります。
今の挽き具合よりも細かくして飲んでみてください。細くすればするほど、同じ粉量で抽出すると濃くなってしまうので、粉量も合わせて調整しながら試飲してみてください。
もしかしたら、これまでの3分の2の量で同じような味わいのコーヒーを淹れることができるかもしれません。

4-3.コーヒーミルの性能

安価なコーヒーミルとハイクオリティのコーヒーミルで味わいが大きく異なります。
それは、は(歯・刃)の形状などによるものですが簡単に言うと均一性が高いものほど高価であり、均一性の低いものは安価になります。
あとは粉砕スピードも価格に大きく影響します。500gのコーヒー豆を挽くと想像以上に時間がかかります。繁盛店で尚且つ挽きたてのコーヒーを提供している店舗では、この粉砕スピードも重要になってきます。
その双方兼ね備えたコーヒーミルとなると非常に高価なものになります。
重要視するポイントを検討した上でコーヒーミルを選択するようにしてください。

【ポイント】
・抽出する直前に挽く(BEST)
・抽出の都度挽けない場合は、1日分の粉を当日の朝挽いて保存瓶などに入れてその日中に使用する(BETTER)
・コーヒーミルは自店に合った性能のものを選択する(質?スピード?)

 

5-brewers

5.抽出(brewers)

抽出に関するテクニックは多々あり、職人の域に入ってくるものがたくさんあります。ハンドドリップひとつとっても、抽出温度、透過スピード、蒸らし時間…etcさまざまな変数があります。
それらを網羅的に店舗で毎回実施するのは難しく、各店舗で実践できるレベルを超えているものもあります。そのため、今回はテクニック以外で味わいに影響する2点について説明します。

 

5-1-brewers

5-1.抽出後の時間

ベストは抽出後すぐにコーヒーを提供することです。大手のコーヒー店でも1杯1杯ハンドドリップする店が増えたり、コンビニでも挽き立てをその場で抽出し提供したり、新鮮なコーヒーを提供する店舗が増えています。
そのため抽出後時間が経ったコーヒーへの反応は以前にも増して厳しくなっています。出来る限り抽出後すぐにコーヒーを提供できるシステムを考えることを推奨しています。
大手コーヒーチェーンではよくあることですが、抽出後保温容器の中に貯めておき、注文毎にレバーをひねってコーヒーを入れています。
このやり方で大切なことは実際に何分まで許容範囲なのか?と正確に見極めることです。おいしいコーヒーを提供するためには15分程度が限界だと弊社では考えています。
ランチタイムの一番忙しい時間は大量に作っておき、それ以外の時間帯についてはこまめに入替えてください。

 

5-2-brewers

5-2.抽出方法の再考

ペーパードリップ、ネルドリップ、サイフォン、コーヒーメーカー、大型コーヒーブリューワー、エスプレッソマシン、どの抽出方法を用いてますか?
どの抽出方法にも一長一短があり、一概に「一番いい抽出方法はこれ!」というものはありません。
しかし、大切なことはどのマシンも正しい淹れ方をすればおいしいコーヒーが入るようになっています。ここまで丁寧に読んでくださった方はご理解している通り、コーヒーには味わいが変わる要素がたくさんあります。
そして、抽出もまたその一工程です。自店で大切にしている事(品質?スピード?)を改めて考えた上でそれに適した抽出方法をご選択ください。
現在はエスプレッソメニューを追加している店舗が多く、今後はエスプレッソを外して考えることは非常に難しくなっています。
セミオートのエスプレッソマシンなどはスタッフ教育が必要ですが、ドリンクメニューも多様性に富んでおり幅広いメニュー構成が可能なため出来る限り導入されるのを推奨しています。

【ポイント】
・抽出後すぐに提供する(BEST)
・抽出後15分以内には提供する(BETTER)
※保温容器により差があるので試飲した上で正確な時間を設定する。
・自店のコーヒーのポジションを決定しそれに適した抽出方法にする

 

6-check

6.どの順番で改善すればいいのか?

「3.保管(canister)→4.粉砕(grind)→5.抽出(brewers)→2.焙煎(roasted)→1.コーヒー豆の選択」
『3.保管(canister)、4.粉砕(grind)、5.抽出(brewers)』この3つのコーヒーシステムが整っていないと、『2.焙煎(roasted)、1.コーヒー豆(beans)』の2つを改善しても全く意味がありません。
いくら良質なコーヒー豆を選び、焙煎士に丁寧に焙煎してもらっていても、保管システムが整っていないとすぐに酸化し味わいが落ちてしまいます。
逆に言うと『3.保管(canister)、4.粉砕(grind)、5.抽出(brewers)』のコーヒーシステムを整備し、明確なルールのもと運営できるようになるだけでコーヒーの味わいは圧倒的によくなります。

 

7-support

7.コーヒーサポート

SANWACOFFEEWORKSではご依頼頂いた皆さまの店舗でおいしいコーヒーを提供できるように店舗内コーヒーシステムを創造していくサポートをしています。
上記のそれぞれのポイントを細かなチェック表のもと御店のコーヒーの状況をリサーチさせていただき、コーヒーシステムの現在の状況を共有していきます。それ以外にもコーヒーに注力しているイメージが付くようなイメージ戦略もともに提案していきます。
味わいも、コストも、少しの事で大きく変わります。コーヒーに関する経費削減と味わいをよくするサポートをぜひ我々にさせてください。

最後に・・・
北欧・オーストラリア・アメリカ・台湾などを中心に、海外のコーヒーシーンは大きく変化しています。
日本国内においても小規模のロースターが増え、コンビニでは挽き立てのコーヒーを購入できるようになり、一昔前と比べるとコーヒーシーンは大きく変わりました。
先進国の方々が日本国内の旅行中に困ることの1つとして「街中においしいコーヒーを飲むところが少ない」ということです。皆さんが海外旅行のときに「ご飯おいしいお店がすくないな」と思う状況と似たような事を思われているのかもしれません。
わたしたちは品質の高いコーヒー生豆をコーヒー専門商社などから仕入れ、焙煎したてのコーヒー豆を販売できるように心がけていますが、もっと多くの方や企業様に”コーヒーのレベルを無理なく改善していきたい”という思いが根底にあります。
可能であればコーヒーに関する経費をすべて確認させていただき、削減できるものは徹底して削減し無駄をなくし、その分コーヒーの品質を上げるところに資本を投下して頂けないかと思っています。そのために水、砂糖、フレッシュ、牛乳、コーヒーカップなどコーヒーに関わるさまざまな事をクリアにしていきます。
もし、本記事に興味を持たれてご一緒にお店の経費を削減して、コーヒーの品質を上げたいという方がいらっしゃったらぜひご連絡ください。


クオリティコントロール

西川隆士

Nishikawa Takashi

1986年生まれ、SCW創業者。店舗の焙煎&ドリンクのクオリティコントロール、コーヒー生豆調達を担当。コーヒー焙煎における大会(JCRC)に出場。ロースターの育成にも注力。インドネシアなどへの農園訪問など、積極的に現地へ赴く。



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