アイスコーヒーの淹れ方・抽出理論を学ぶワークショップ

2016年9月16日 Nishikawa Takashi

2016年7月からスタートしたSANWA COFFEE WORKSのワークショップ。
月4回さまざまなテーマで開催するワークショップの中でも人気だったのがアイスコーヒーの作り方をレクチャーするワークショップです。
ホットコーヒーの作り方をテーマにしたワークショップは比較的多いですが、アイスコーヒーをおいしく作るためのワークショップはまだ多くありません。
そのためかコーヒー愛飲家の方からカフェ・コーヒー専門店のスタッフさんまで幅広い方々にご参加頂きました。

imgp2477

2016年度のアイスコーヒーのワークショップは2016年9月29日(木)が最後になります。
その前に当該ワークショップの内容と頂戴した質問などを元にレポートを作成いたしました。

ご自宅用、カフェ・レストラン用など多角的な視点でまとめておりますので、1人でも多くの方々の参考になれば幸いです。
=============
【目次】
アイスコーヒーとは?
アイスコーヒーの作り方
1番おいしいアイスコーヒーについて考える
アイスコーヒーに適したコーヒー豆は?
お店ですぐできるアイスコーヒーの味わい改善方法
アイスコーヒー代替ドリンク-アイスアメリカーノ-
Q&A
=============

アイスコーヒーとは?

imgp7661

夏場に必須のコーヒードリンク”アイスコーヒー”は日本発祥のドリンクだと言われています。
70歳を越えたお客さまの中には冷たいコーヒーを略して『冷コ(レイコ)』とご注文される方もチラホラ。
スーパーなどでは「アイスコーヒー用コーヒー豆」などが販売されており、専用のコーヒー豆が必要なのかな?と考えている方もいらっしゃると思います。
簡単に言えば、抽出したコーヒーを冷やして飲むのがアイスコーヒーです。つまり、専用の豆がなくても、普段からホットコーヒーとして使っているコーヒー豆でもアイスコーヒーを作ることができます。

[余談]
コーヒーは基本的にホットで愉しむもの、と海外では考えれていました。
しかし、数年前からコールドブリューと呼ばれるニューヨーク発祥の新たなドリンクとして世界中に広まりつつあります。
日本でも逆輸入的に「コールドブリュー(水出しコーヒー)」を販売しているコーヒー専門店が急増しています。
ぜひ街中などで見つけたら飲んでみてください。

 

アイスコーヒーの作り方

Brew.1 通常冷却

imgp2736

ホットコーヒーを通常通り抽出し、その後抽出したコーヒーを冷蔵庫で冷やしてアイスコーヒーを作る方法。
[基本レシピ]※ペーパードリップの場合
準備物:コーヒーの粉(18g)、水(250ml)、ドリッパー&ペーパー、サーバー、ドリップ用ポット
STEP.1 ドリッパーにペーパーをセットし、サーバーの上に置く
STEP.2 コーヒーの粉をドリッパーの中に入れる
STEP.3 ドリップ用ポットに水を入れて沸かす
STEP.4 通常通りドリップし、サーバー内に200ml抽出されるまで注ぐ
STEP.5 サーバーを冷蔵庫に入れて冷えたら完成

 

Brew.2 急速冷却

imgp2703

氷詰めしたサーバーにホットコーヒーを抽出し、急速にホットコーヒーを冷やしアイスコーヒーを作る方法。
[基本レシピ]※ペーパードリップの場合
準備物:コーヒーの粉(27g)、水(125ml)、ドリッパー&ペーパー、サーバー、ドリップ用ポット、棒
★コーヒーの粉は1の1.5倍、水は1の半分でOK!!
STEP.1 ドリッパーにペーパーをセットし、氷詰めしたサーバーの上に置く
STEP.2 コーヒーの粉をドリッパーの中に入れる
STEP.3 ドリップ用ポットに水を入れて沸かす
STEP.4 通常通りドリップし125ml注ぎ抽出する
STEP.5 サーバー内を棒でかき混ぜて一気に冷やして完成

 

Brew.3 コールドブリュー

IMGP2432

コーヒーの粉を冷水の中に浸し、8~10時間程度かけてゆっくりアイスコーヒーを作る方法。
[基本レシピ]※HARIO製ColdbrewPOTの場合
準備物:Cold Brew POT、水、コーヒー粉(細挽き※ペーパードリップ用より少し細かめが目安)
STEP.1 水600mlに対し、粉40gを淹れてかき混ぜる
STEP.2 冷蔵庫に8時間程度放置
STEP.3 粉を取り出して、コールドブリュー完成

※コールドブリューの詳しい情報は前記事をご参照ください。

1番おいしいアイスコーヒーについて考える

imgp2740

3つの淹れ方を理解した皆さんが次に関心を持つのが「どれが一番おいしい淹れ方なのか?」という事だと思います。
3つの淹れ方について2つのポイントに注目しながら考えてみます。
※ベーシックな考え方を習得して頂くことが目的のため、ドリップ手法など抽出中の細かなテクニックは割愛させていただきます。

 

POINT.1 抽出温度

imgp2692

『Brew.1 通常冷却』と『Brew.2 急速冷却』は抽出温度が高く、『Brew.3 コールドブリュー』は冷水で抽出します。

コーヒーは高い温度で抽出した方が苦味成分を引き出しやすいという性質があります。
そのため『1.通常冷却』と『2.急速冷却』は高温抽出のため、苦味成分を十分に引き出すことができますが、『Brew.3 コールドブリュー』は引き出すことができません。
言い換えると『Brew.3 コールドブリュー』は苦味成分を引き出すことなくアイスコーヒーを作ることができるとも言えます。

つまり、
アイスコーヒーに苦味を求める方は『Brew.1 通常冷却』と『Brew.2 急速冷却』がオススメ。
アイスコーヒーに苦味を求めない(果汁感や柑橘感を求める)方は『Brew.3 コールドブリュー』がオススメ。

POINT.2 フレーバーの揮発

imgp2748
『Brew.1 通常冷却』と『Brew.2 急速冷却』の違いは冷やし方です。
氷で急速に冷やすか、冷蔵庫で時間をかけて冷やすか。

2つのうちどちらがいいのかというと、『Brew.2 急速冷却』の方が香味豊かでおいしいアイスコーヒーに仕上がります。
抽出後すぐ飲むホットコーヒーと、そのまま放置しておいて温め直したホットコーヒーはどちらがおいしいでしょうか?
アイスコーヒーも同じです。
抽出後少しずつ香味成分(フレーバー)が揮発していくため、『Brew.1 通常冷却』の方が香味が弱くなります。
ワークショップのときはこの2つの違いを同じ豆で淹れて飲み比べてもらいましたが、皆さんその差に驚かれます。

 

それでは『Brew.3 コールドブリュー』はどうなのでしょうか?
IMGP2420

8~10時間程度かけて抽出するコールドブリューは他の2つの淹れ方とは違うため単純な比較が出来ません。
しかし、コールドブリューはコーヒーの粉をそのまま水の中にずっと浸けておくので基本的には香り豊かなコーヒーに仕上がります。

《基本的には…??》
基本的にはという言葉を使ったのは、香り豊かなコールドブリューにするためには新鮮で香り豊かな豆を使用しなければいけません。
おいしいコールドブリューを作るポイントは、
・新鮮なコーヒー豆を使用すること
・挽いてすぐに浸けること
この2点は必須です。

結論
『POINT.1 抽出温度』と『POINT.2 フレーバーの揮発』を考えると、
アイスコーヒーに苦味を求める方は『Brew.2 急速冷却』がオススメ。
アイスコーヒーに苦味を求めない(果汁感や柑橘感を求める)方は『Brew.3 コールドブリュー』がオススメ。
となります。

アイスコーヒーに適したコーヒー豆は?

お客さまにも「アイスコーヒーでオススメの豆は何?」と聞かれることが多くあります。
SANWACOFFEEWORKSのビーンズリストからオススメの豆を選んでみました↓

苦味をお求めの方にオススメ!!

imgp2789

1.キリマンジャロ-darkroast- ¥550/100g

1番人気なのがキリマンジャロの深煎り。
「キリマンジャロは酸味があって苦手です」というたくさんの方々の価値観を変えてきたこの豆。
キリマンジャロを深煎りにすると、甘みを強く発するマイルドビターでチョコレートを彷彿とさせる柔らかい味わいになります。
一度騙されたと思ってお試しください。

2.インディゴ ¥470/100g

定番のアイスコーヒーブレンド「インディゴ」。
昔ながらのおいしいアイスコーヒーをイメージした深煎りの豆のみ使用したブレンドで、ミルクにも負けないしっかりしたビター感が特徴。
ブラジル産をブレンドのベースにしてローストナッツのような香ばしさを全面に感じるTHE・ICED COFFEEとして長年親しまれています。

3.ケニアAA ¥1,030/100g

ケニアAAの中深煎り(シティロースト)が持つ絶妙なバランスを感じることができるアイスコーヒー。
ロースト感のある程よい深みと余韻として長く残るベリーやワインを彷彿とさせる味わいが特徴。
口に入れた瞬間に広がるクリーンで甘みある味わいをお愉しみください。

 

苦味を求めない(果汁感や柑橘感を求める)方にオススメ!!

FullSizeRender(2)

1.エチオピア・イルガチェフェ(ウォッシュド)

いわずと知れたスペシャルティコーヒーの人気銘柄”イルガチェフェ”。
レモン、グレープフルーツを彷彿とさせる爽やかな味わいが素直に出て、SCWリストではベスト1の味わいです。
すこしシロップを足して甘み付けするのも良し!!

2.ニカラグア・リモンシージョ

まだまだ認知度が低いニカラグアのコーヒーですが、ラズベリーのような甘い風味とブラッドオレンジのようなテイストが特徴。
飲み口は爽やかですがCold Brew Coffeeにして際立つのはボディ・コクです。濃厚な果実感をお愉しみください。

3.ケニア・ニエリ

パイン、ピーチ、梨などを彷彿とさせるキリリとした果実感が特徴。
世界的に大人気のケニア産のコーヒーはバランスもよくて甘みもしっかり感じることができます。
一番最初はケニアというのもいいかもしれません。

 

お店ですぐできるアイスコーヒーの味わい改善方法

dsc_1171
これまでは「おいしいアイスコーヒーを抽出する」ためのお話をさせていただきました。
しかし大切なことはここからです。
カフェ・レストランを営んでいる皆々様であれば「わかってるけど時間も人材もコストを考えると現状では難しい!!」ということが往々にしてあるとおもいます。
そんな方々のためにオススメしている改善方法を3つ挙げてみました。

POINT.1 新鮮なコーヒー豆を使用する

抽出方法を全く変更せずに、コーヒー豆の種類や保存方法を変更するという事を推奨しています。
その際に安い業務用のいつ焙煎したかわからないコーヒー豆を使用しているのであれば、まずは焙煎日が明確にわかるようなコーヒー豆に変更してみてください。
もしかしたら現在購入している同価格で見つかるかもしれませんし、少しコストはアップするかもしれませんが、それだけで大きく味わいが改善します。
次に保存方法です。せっかく新鮮な豆を購入しても保存方法が杜撰だとすぐに劣化します。
コーヒーの袋を開けたままや輪ゴムなどで縛ってるだけで保管していませんか?
その場合はゴムパッキンなどが付いた密閉性の高い保存瓶を購入し、入れておくだけで劣化スピードを大幅に遅くすることができます。

POINT.2 深煎りコーヒーをコールドブリューで抽出する

浅煎りの果実感や柑橘系のテイストが得意なコールドブリューですが、新鮮な深煎り系の豆を使用しても苦味は抑え目ですが風味豊かなおいしいアイスコーヒーが出来上がります。
そのため新鮮な豆を購入しコールドブリューを作るという方法を考えてみるのをオススメしています。しかし、抽出時間が8時間程度必要なため在庫管理を注意する必要があります。

POINT.3 コーヒーメーカーでアイスコーヒー用のコーヒーを抽出し保温する

コーヒーメーカー・コーヒーブリューワーでコーヒーを淹れて保温して提供しているお店に推奨しているのが、アイスコーヒー用のホットコーヒーを作るというやり方です。
通常のホットコーヒーではなく、アイスコーヒー用として濃い目に抽出したホットコーヒーを抽出・保温しておき、アイスコーヒーの注文がある度に、氷詰めしたカップにホットコーヒーを入れて「2.急速冷却」のアイスコーヒーを作るというやり方です。
その際も長く保温しすぎると香味が損なわれるため、出来る限り早めに使い切ってください。

以上3点からアイスコーヒー改善のヒントが見つかれば嬉しいです。

 

アイスコーヒー代替ドリンク-アイスアメリカーノ-

imgp2772
アイスコーヒー好きの日本人のためのエスプレッソドリンクが『アイスアメリカーノ』です。
エスプレッソマシンをお持ちの店舗様では、既にアイスコーヒーとしてアイスアメリカーノを提供しているところもたくさんあります。
冷水にエスプレッソを注ぐだけで作れるアイスアメリカーノは、エスプレッソのマシン性能にもよりますが大型店舗でも出来たてのアイスコーヒーとしてすぐに提供することができます。

Q&A

imgp2454
ワークショップ中には参加者の皆さまからたくさんの質問を頂戴しました。
その中からいくつかピックアップして皆さまも紹介いたします。

賞味期限は?

「1.通常冷却」と「3.コールドブリュー」は作ってから冷蔵庫に保存しています。その際の賞味期限ですが3日間を目安にしてください。
最初に香りが落ちてきて、その後抽出したコーヒーが少しずつ酸化していきます。酸化したコーヒーはちょっと喉に詰まるような味わいで心地よくないので毎日チェックするようにしてください。

専用の豆はあるの?

専用の豆はありません。アイスコーヒー用としてスーパーなどで販売しているのは皆さんにとってわかりやすいだけです。どの豆でもアイスコーヒーで飲むことができるのでいろいろ試してみてください。

コーヒーメーカーを使ってアイスコーヒーは作れますか?

直接作ることはできないですが、下にサーバーを置いているタイプのコーヒーメーカーであればサーバーに氷を詰めておくとコーヒーメーカーでホットコーヒーを淹れたときに「2.急速冷却式」を作ることができます。
その際に気をつけないといけないのはいつもより濃い目に抽出しないと氷でだいぶ薄まってしまうので気をつけてください。

 

■お問い合わせ
店舗様の現状把握やヒアリングの上で具体的な提案をご希望の方、出張ワークショップの開催のご希望の方はぜひお問い合わせください。
アイスコーヒーは豆選び、保存方法、抽出方法などのさまざまなシステムを改善すれば大幅に味わいが向上します。

最終的に弊店のコーヒー豆を使用しなくても構いません。皆さまの提供されているコーヒーが少しでも改善するように全力でサポートいたします。

ワークショップ担当:西川
お問い合わせページへ


クオリティコントロール

西川隆士

Nishikawa Takashi

1986年生まれ、SCW創業者。店舗の焙煎&ドリンクのクオリティコントロール、コーヒー生豆調達を担当。コーヒー焙煎における大会(JCRC)に出場。ロースターの育成にも注力。インドネシアなどへの農園訪問など、積極的に現地へ赴く。



Latest Articles   最新記事

2017年3月23日 Akira Niidome

エアロプレスの使い方 -How to Aeropress-

今回はエアロプレスの使い方のご紹介。ちょっと扱い方に慣れが必要ですが、器具を倒さないようにとかその程度の話です。慣れればHARIOのドリッパーよりも簡単にクオリティの高いコーヒーを入れることができます。

[… Read More]

2017年3月9日 Akira Niidome

about “Aero Press”

今回記事で触れたいのはエアロプレス。手軽さという点ではやや疑問は残るるけれど、利便性も楽しみの幅もコーヒーの味わいも最高レベルの抽出方法です。アウトドアコーヒーにもオススメ。

[… Read More]

2017年2月20日 Akira Niidome

about “KENYA AA”

最もお気に入りのコーヒー豆の一つ、KENYA AA。ドリップレシピとケニアのコーヒー産業について簡単にご紹介。

[… Read More]

2017年2月14日 Nishiwaki Jinya

吐く息を呑み込む白銀の世界

コーヒーを淹れるのも、飲むのも、自分だけの世界だ。温かいコーヒーさえ持っていれば、この白銀世界をどこまでも歩いていける気がした。

[… Read More]

© 2017 Sanwa Coffee Works. All Rights Reserved